中央アジアと日本、新たな関係構築の始まり
中央アジア5か国と日本による会合が終了し、今後5年間で約190億ドル(約3兆円)規模のビジネス・プロジェクトを推進するという方針が示されました。
同地域との協定としては、これまでにない規模であり、日本としても本気度の高い取り組みであることがうかがえます。
その中で、カザフスタンについてはすでに約37億ドル(約5,500億円)規模の具体的なプロジェクトが合意されたと報じられています。
注目すべき点は、その内容が資源・エネルギーや先端技術分野にとどまらず、宇宙から農業、物流や食品、さらに教育といった非常に幅広い分野に及んでいることであります。
個人的にも、過去に関わってきた、あるいは近くで見てきた分野が多く含まれており、今回の合意からは、日本側・現地側双方が相当な準備と労力を重ねてきたことが感じられます。
関係者の皆さまのご尽力に敬意を表するとともに、両地域の新たな関係構築に向けて、良いスタートが切られたことを率直に嬉しく思います。
一方で、今後これらのプロジェクトを真に成功へ導いていく上での課題も明確だと感じています。
それは、熱意を持って関わる専門人材の育成と、その継続性です。
中央アジアとの関係において、日本は中国やロシアはもとより、近年は米国や韓国に比べても、必ずしも主導的な立場にあるとは言い難い。
歴史的な距離もあり、相互理解に時間を要する中で、ようやく慣れてきた頃に担当者が異動や帰国で離れてしまう、というケースもこれまで多く見てきました。
一度離れると、再び関わる機会が生まれにくいのが現実であります。
しかし、ビジネスは結局のところ、人と人との関係の上に成り立つものです。
信頼関係の構築には時間と忍耐が必要であり、特に初期段階においては、相手国に「骨を埋める」くらいの覚悟で向き合う人材の存在が不可欠だと感じています。
今回の政府主導による経済交流が、一過性の成果に終わることなく、ビジネスから人の交流へと大きくつながっていく流れになっていくことを心から期待したいと思います。
(残念ながら私は今回の会合に呼ばれることはありませんでしたが🙂)
この動きを追い風として、私自身も、中央アジアと日本をつなぐ取り組みに、これまで以上に力を入れて取り組んでいきたいと思います。